東日本大震災からの復興、大船渡のサロンさんのお話

岩手県大船渡市でネイル＆エステサロンを経営されている方と
お話をさせていただく機会がありました。
震災の時、自宅もサロンも壊滅的な被害を受けられたそうですが、
お客様の期待や周囲の支えがあり、サロンを再開されたとのこと。
ご本人とお話する時間が少なかったのが残念ですが、ブログを拝見すると
当時、大変なご苦労をされたことや辛い出来事の様子がつづられ、
そんな中で頑張っているサロンさんがあるのかと、胸をうたれました。
今回、ブログに書かせていただくことを快く承諾いただきましたので、
そのお話を一部ご紹介したいと思います。

—　以下、ご本人の体験談とブログより一部抜粋　—
あの日、寒空の雪の下、裸足で逃げ出しました。
たった一瞬でサロンと自宅が津波にのまれ壊滅的になりました。
生活に必要なものは全て失い、
昨日まで普通にできていたことができなくなりました。
時間の感覚がおかしくなり、１日１日がとても長くて
１週間が１か月にも思えました。
「またサロン出来るの？」
「いつから再開できるの？」
という周囲の声に戸惑い、プレッシャーと焦りを感じる日々。
サロンを再開したくても、
建物が壊れてない
携帯がつながらない
電気がない
水が出ない
笑顔になれない…
気持ちが折れかかっていました。
いっそのこと、東京へ行って仕事をしようか・・・
そんな時、お客様からメールが届くようになりました。
「また待ってるから！」
「また笑顔で迎えてもらえるのを楽しみにしてます！」
「大変でしたね。再開の時は連絡待っています。」
温かい言葉の数々、それは日に日に増えていきました。
「このままじゃだめだ、何かしなきゃ。
私には、待っていてくれる人がいる。」
お客様からの言葉が、立ち上がる原動力になりました。
サロンは外枠だけ残っていたので、全てリフォームすることにしました。
仮設住宅の中でエステサロンをすることも考えましたが、
現実味に引き戻された中で受ける施術はどんなに辛いだろうと思い、
思い切ってサロンの再建を決断しました。
全て津波に流されてしまった必要な備品、
全国の知り合いのサロンさんや友人に助けてもらい
お借りすることが出来ました。
瓦礫の中から化粧品を探し当てた時は、
まるで宝物を見つけたかのように、お客様と大喜びしました。
「きれいにして拭けば使えるね」と。
お客様の言葉が魔法のように、私の重かった気持ちを救って下さいました。
こんな自分でも待っていてくれたのが嬉しくて有難くて、
立ち上がるきっかけをもらいました。
被災地は、だんだん忘れられていく存在かもしれません。
いつまでも悲しい気持ちは消えないかもしれないし、薄れていくかもしれない。
でも、これからも頑張ろうと思います。
亡くなっても決しておかしくない状況で生き残った命なのだから。
笑顔でお客様をお迎えできるよう、
私も楽しんで仕事をしていきたいと思っています。

（大船渡市ネイル＆ビューティーサロンS-PIOさんのブログより引用）
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今では、震災前よりもお客様が増えているとのこと。
住む家を失い仮設住宅に暮らす方も、
エステやネイルを受けにいらっしゃるそうです。
これを聞いた時は驚きました。
でも、少し考えてすぐに納得しました。
非日常であるはずの辛い現実が日常になってしまいつつある中、
被災された方々にとっては、トリートメントを受けることで
疲れてギスギスしていた心が少しずつ解れていくのではないでしょうか。
お顔や爪を綺麗にお手入れしていることが、
落ち込みがちな気分を明るくしてくれるのではないでしょうか。
お客様が震災前と同じようにサロンへ通うことで、
気持ちのバランスを保っていらっしゃるように感じられます。
エステやネイルは、単に美しくなるための手段ではなく
人の温もりが人を癒し、元気づけ、明日への活力につなげることができる
エネルギーの源とも言えるかもしれません。
それは、いくら高価な機械を使っても出来ることではありません。
人が人に、直接肌に触れるからこそできること。
私は、そんなお仕事に携わることができて幸せです。
改めて、震災で被害に遭われた方々へ
心よりお見舞い申し上げます。
↓ご紹介したサロンオーナー様と。
とても明るくて笑顔が素敵な方でした！